確率にもとづくダブルの使い方
ダブルの確率について
 さて、ダブルをかけるべきさまざまなケースを紹介してきましたが、ここでは、それを確率にもとづいて検討してみましょう。
勝率を明確に計算できるので、ベアリングオフにおける2駒残りの状況を例にとって説明することにします。この場合、何百、何千というゲームを行った場合の最終的な勝ち点を多くするという意味では、50パーセント以上の勝率があればダブルをかけたほうが良いと言うことになります

図6では、次にグリーンがダイスを振る番です。白にとって一回で両方の駒を上がりにできる目は6の目がからむ11通りと、5-5、4-4.3-3,2-2の4通りで、確率的には36分の15(42パーセント)です。ここではダブルをかけるわけにはゆきません。
さて、図7では、6ポイントから5ポイントへひとつの駒が移動しています。その結果、一回で両方の駒を上がりにできる目は6および5の目が絡む20通りと、5-5、4-4.3-3,2-2の3通りで、確率的には36分の23(64パーセント)にふえています。
50パーセント以上の勝ちを期待できますから、ここではダブルをかけてもかまいません。しかし、その場合、相手もまずこのダブルをうけるであろうということを知っておく必要があります。それは次の理由によります。

 

図6

図7

ダブル25パーセント理論

ダブルをかけられた場合、勝率が25パーセント以上であれば、そのダブルは受けるべきです。これは次のようにして説明させます。かりに1ゲームにポーカーチップ1枚を賭けてプレーしているとして、そのダブルをかけられた同一の状態が1年(あるいは一生?)のうちに100回起きたとします。全部そのダブルを降りれば、総計チップ100枚の負けです。全部をそのダブルを受けたとすると、勝率25パーセントの場合で、取得は2枚×25=50枚、損失は2枚×75=150枚、差し引き100枚の負けとなって、全部おりた場合とまったく同じです。したがって勝率25パーセント以上であれば、受けた方が結果的に失うチップの枚数は少なくなります。


図7では、白は36パーセントの勝率があるのですから、当然そのダブルを受けるべきです。このように一方の勝率が50パーセント以上あり、他方の勝率が25パーセントあるならば、前者はダブルをかけるべきであり、後者はダブルを受けるべきであるという。面白い状況になります。図8では、グリーンは36分の29(81パーセント)の確率で両方の駒を上がりにすることができますから、白はダブルを受けてはなりません。

図8

慎重を要するダブル
勝率がたいへん高い場合であっても、次のような場合には、ダブルは慎重に行わなければなりません。

● ギャモン負けの可能性がある場合
図9では、次にグリーンがダイスを振る番です。グリーンは11ポイントの白のブロットをヒットできれば、まずこのゲームを勝つことが出来ます。その反対にヒットできないとすると、白からダブルをかけられることになり、ピップカウントを比較すると、とても、ダブルを受けられません。つまり、ここでヒットできればグリーンの勝ち、できなければ白の勝ちという状況です。いまグリーンが11ポイントの駒をヒットできる確率は、ダイスのどちらかに4もしくは2がでる場合に、3-1、1-3,1-1を加えて、36分の23(64パーセント)あります。勝つ確率の方が大きいのですから、グリーンは当然ここではダブルです。白は25パーセント理論からこのダブルをうけることになりますが、もし黒の駒をヒットしてからダブルをかけたとすると、白はおりてしまいます。
さて、図10は同じような状況であり、グリーンは36分の22(61パーセント)で6ポイントの白のブロットの駒をヒットできます。そしてヒットできればまずグリーンは勝利をものにするでしょう。しかし、ここではグリーンはダブルするべきではありません。なぜなら、もしヒットできなかったとすると、グリーンはギャモン負けになってしまうからです。たとえ勝つ確率の方が大きいとはいえ、負けた場合には2倍の点を失うのですから、この状況は何度プレーしたとすると、実際には白のほうが多くの点を得ることになります。



● リダブル
ダブルをいったん受けてしまっている状況では、ダブルをかける権利はあなたが持っています。これはダブリングキューブが中央にある場合にくらべて、多くのメリットがあります。たとえ相手は90パーセント以上の勝率を期待できる場合でも、ダブルをかけてあなたをおろさせるということが出来ません。したがって、あなたは最後の最後まで逆転のチャンスを期待することができます。それだけに、リダブルをかけるということは、ダブルの権利も相手に渡すことになるのだということを、十分考慮に入れてください。


● トーンメント・プレー
トーナメントにおける対戦は、プライベートのゲームと違って、永遠に続くゲームではありません。バックギャモン・トーナメントは15ポイント制とか7ポイント制というように、ある一定の点数まで先に達した方が勝ちというシステムで行われます。これは、ちょうどテニスのスコアのつけ方と同じように、両者のプラス数だけを加算してゆくものです。たとえば7ポイント制であれば、両者がまったくダブルをかけずにシーソーゲームを行ったとすると7-6の場合で、最高13ゲームまで行えることになります。したがって、ダブルをかければかけるほど、実際のゲーム数は少なくなり、それこそダブルの制限のないトーナメントであれば、一回で勝負が決まってしまうということも可能性としてはあるわけです。それゆえに、トーナメント・プレーにおけるダブルは通常のゲームと違って慎重に行わなければなりません。ダブルを多用することは、実力に反して、弱いプレーヤーに多くの得点を与える可能性を生じてしまいます。
たとえば7ポイント制において、あなたが5-3でリードしているとしましょう。もしあなたがそこでダブルをかけ、相手がそれを受けたとすると、あなたはそのゲームに勝てば2点を獲得して、7-3でそのラウンドを勝ち抜くことが出来ます。しかし、それゆえに、ダブルを受けた相手は、ただちにリダブルをかけることになるのです。なぜなら、彼はどのみちそのゲームに負ければトーナメントから脱落するわけですから、リダブルをすることによって、もし彼が逆転に成功すれば4点を獲得して、5-7で勝ち上がることができるからです。すなわち、せっかく5-3でリードしている試合が、ただそのゲームだけで勝負を決定するという結果になってしまうのです。


トーナメントにおけるダブルの原則は、勝率が非常に高い場合を除いて、リードしている側は極力ダブルをかけるのを避けるべきであるということです。そしてダブルをかけられた場合は、それほど不利でなくとも、あっさりとダブルをおりるようにします。相手に2点とられるチャンスを与えるよりも、その場で1点だけを与えてしまって、次のゲームに移るのです。一方、リードされている側は、普通にダブルをかけてかまいません。それこそ圧倒的な点差がある場合には、積極的にダブルをかけてゆく必要があります。ただしその場合、相手がマッチポイント(あと一点とrば勝ち上がりと言う状態)に達したならば、次の1ゲームにカンしてはダブルをかけられないというルールがあります。これはクロフォード・ルールといって、ほとんどの正式トーナメントで採用されています。たとえば7ポイント制で、あなたが3-5でリードされているとしましょう。次のゲームもあなたが負けて、相手が一点取ったとすると、スコアは3-6になります。相手はあと一点取ればそのラウンドを勝ち上がることになりますから、次の1ゲームに限って、どちらのプレーヤーも、ダブルをかけることは認められません。その結果あなたが勝てば、スコアは4-6になります。
さて、もはや次のゲームからはクロフォード・ルールは適用されません。したがって、あなたが先攻であれば第2手のとき、後攻であれば第1手のとき、ただちにダブルをかけるべきです。あなたはそのゲームに負ければ、トーナメントから脱落するわけですから、それならば勝った場合のことを考えて、初めから2倍のゲームにした方が有利なわけです。逆に言えば、クロフォード・ルールはリードしている側の優位性を一回だけ保護しようという目的のものです。たとえば6-5のスコアでリードしたとしても、クロフォード・ルールがなければ、1点差のリードがまったく無意味になってしまうからです。


なお、ダブルの25パーセント理論は、トーナメント・プレーでは適用しません。これは、同じ状況が何度も生ずるという仮定のもとの考え方であって、トーナメントのように負けてしまえば二度ととり返しがきかないという状況では、あくまでもそのときのスコアによって判定を下すべきです。すでに述べたように、点差によっては、勝率は25パーセントより高くてもおりるべきときがあり、25パーセントより低くても受けるべきときがあります。

 

図9

図10

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